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【用語解説】シスジェンダー・ヘテロセクシュアルとは?
早稲田大学文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系卒業。雑誌の自主制作やクリエイターチームの結成などを行い、Web制作会社にディレクターとして入社。その後、フリーランスのディレクター・イラストレーターを経て、オウンドメディアのライター・コンテンツディレクターとなる。現在はマルチクリエイターとして活動中。
「LGBT」という言葉とその意味がだいぶ世間に広まってきた昨今。性のあり方は様々で、人の数だけあると言っても良い。それでも分かりやすく名前をつけて「ゲイ」や「レズビアン」と呼称するのだ。
それでは、「一般的」な男性/女性には何か名前がついているのか?(分かりやすく、マジョリティであることを「一般的」と表記する)この記事では、ジェンダーの観点から「一般的」な男性/女性について解説していく。
目次
そもそも「ジェンダー」とは?
「一般的」な男性/女性の呼称の話に入る前に、そもそも「ジェンダー」という言葉の意味について簡単に整理しておきたい。ここを押さえておくことで、ぐっと性のあり方の理解度が深まる。
「ジェンダー」は「社会的性」、転じて「性のあり方」
「ジェンダー」は、生まれた時に割り当てられる生物学的な性別(sex)とは異なり、社会的に作り出された役割や関係性に基づいた性別のことを指す。例えば、「お茶汲みは女性の仕事だよね」とか「男性は一家の大黒柱である」などといった社会的・文化的な性別だ。
それが、より広義の意味で、現在では「自分の性のあり方」として「生物学的性(sex)」と区別して使われるようになっている。なので、性別記入欄が廃止されたりといった動きも出ている。
「シスジェンダー」とは?
それでは、「シスジェンダー」とは何か。「シスジェンダー」とは、自分の生物学的な性別(sex)と性自認(自分の性を何だと思うか)が一致している人のことを指す。
ここで取り上げている「一般的」な男性/女性は、自分の生物学的性を「男性/女性」だと受け止め、なおかつ自分の性別はそれと同じだと思っている状態ということだ。なので、社会的な「ジェンダー」にも大きな違和感を抱くことが少ない。
「シスジェンダー」は何も「一般的」な男性/女性だけではなく、例えば「ゲイ」の男性でも「シスジェンダー」の人はいる。ちなみに、自分のジェンダーを決めない「Xジェンダー」や、性別違和を感じる「トランスジェンダー」などもある。
「性的指向」とは?
「ジェンダー」についてざっと紹介したので、次は「性的指向」について。「性的指向」は「セクシュアリティ(性のあり方)」を決める上で重要な4つの要素のうちの1つで、「性的に惹かれる相手の性別」のことを指す。
以下で、様々な「性的指向」についてみていこう。
「ヘテロセクシュアル」と「ホモセクシュアル」
どういった性別の人に魅力を感じるのかを「⚪️⚪️セクシュアル」と表現することが一般的で、特に「ヘテロ」と「ホモ」がよく知られている。「ヘテロ」は「自分と異なる」という意味なので、「ヘテロセクシュアル」は「異性に魅力を感じる人」を指し示す。同様に、「ホモ」は「自分と同じ」という意味なので、「ホモセクシュアル」は「同性に魅力を感じる人」を指し示す。
「アセクシュアル」
「⚪️⚪️セクシュアル」は、「ヘテロ」や「ホモ」だけではない。その他にも様々あるが、ここでは代表的な「アセクシュアル」について簡単に紹介する。
「アセクシュアル」は「他人に性的な魅力を感じない人」を指し示す。なお、あくまでも「性的な魅力」なので、「恋愛感情」を持つ場合もある。「恋愛感情を抱くが、性的な魅力は感じない」という人を「ノンセクシュアル」と呼ぶので、「アセクシュアル」と似ている点には注意が必要。
「一般的」な男性/女性の分類について
それでは「一般的」な男性/女性(マジョリティ)の分類を、これまでさらってきた内容で表すとどうなるのか、みていきたいと思う。あくまで、性のあり方(呼称)のひとつなので、あまり固執せずに使おう。
「シスジェンダー・ヘテロセクシュアル」
「一般的」な男性/女性は、まず、自分の生物学的性と性自認が一致しているので、「シスジェンダー」となる。さらに、「異性に性的な魅力を感じる」ので、「ヘテロセクシュアル」となる。よって、「一般的」な男性/女性は、「シスジェンダー・ヘテロセクシュアルの男性/女性」と表現されるのだ。
このように呼ぶことで、マジョリティも数多くある性のあり方のうちのひとつ過ぎないと少しは実感できるのではないだろうか。ちなみに「ゲイの男性」は「シスジェンダー・ホモセクシュアル」に分類できるし、「女性の体に生まれたが、性自認は男性で、性的指向も男性」といった場合は「トランスジェンダー・ホモセクシュアル」と表現できる。また、「シスジェンダー・ヘテロセクシュアルの男性/女性」は「ストレート」と呼ぶこともあるので覚えておくと良いだろう。
まとめ
以上のように、性のあり方について、「ジェンダー」や「性的指向」などを使って「因数分解」していくと細かな項目で分類できる。なので、マジョリティである「シスジェンダー・ヘテロセクシュアル(ストレート)」の人々も数ある中のひとつの呼称に過ぎないのだ。もちろん、言語化できない性のあり方もあり、人の数だけ性のあり方は存在するが、ぜひ、この記事で扱った視点で性について考えてみよう。