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【おすすめ邦ロックバンド】Base Ball Bearが好きすぎる偏愛レビュー。

編集・ライティング

シブヤ ユウキ

早稲田大学文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系卒業。雑誌の自主制作やクリエイターチームの結成などを行い、Web制作会社にディレクターとして入社。その後、フリーランスのディレクター・イラストレーターを経て、オウンドメディアのライター・コンテンツディレクターとなる。現在はマルチクリエイターとして活動中。

Base Ball Bearというバンドが好きで好きでたまらない。僕のように、何かひとつのバンドに傾倒するように愛してしまうことはないだろうか?この記事を開いてくれたあなたは、少なくともBase Ball Bearについて興味があると思って良いだろうか。その上で、Base Ball Bear(以下ベボベ)にはどのような魅力があるのか語っていきたい。最後までお付き合いいただけると幸いだ。

ベボベの略歴

そもそもベボベがどういった歴史を持ったバンドなのかついて少し触れておこうと思う。ベボベはGt.Voの小出祐介が高校2年生の頃に、文化祭で披露するために結成されたバンドだ。メンバーはGtの湯浅、Baの関根、そしてDrの堀之内を含めた4ピースバンドだった。

文化祭直前に、小出と堀之内の衝突があり、解散危機にまで追いやられるが、その苦難を乗り越え、無事に文化祭での出番を終了。しかし、そのままバンドを解散させることなく、後日小出が各メンバーに直接メールで勧誘し、バンドを継続。2002年には初めてラジオ放送されるなど、少しずつロックバンドとしての歩みを始める。2006年に『GIRL FRIEND』でメジャーデビューし、その後もアニメとのタイアップ曲などヒット曲を出していった。

また、毎年のように「日比谷ノンフィクション」と称して、日比谷野外音楽堂でライブを開催したりもしている。しかし、2016年初旬にGtの湯浅が突然音信不通になり、3ピースバンドへの転向を余儀なくされる。その後は2022年に結成20周年を祝う武道館ライブを成功させるなど、新たな歩みを踏み出している。

素晴らしい景色と心情を歌う「不思議な夜」

僕がベボベに「ハマった」と確信したのがこの「不思議な夜」という曲だ。この曲はMVの美しさは言うまでもなく、MVなしで聞いても、ありありと美しい情景が浮かんでくる。

「なんてことのない関係のふたりが夜を歩く」

この曲の登場人物は二人。互いにそこまで親睦が深くはないだろう男子高生と女子高生だろう。この二人が、曲の冒頭から、築地近くの塩の香りが漂ってきそうな場所を、深夜に歩いていく。これから夏に差し掛かろうとしている情景を、「彼女の首にへばりついた髪」という表現で見事に表している。

そんな二人が積極的に距離を縮めるという訳でもないのに、それでも同じ「深夜」という高校生からしたら「タブー」な時間帯を歩いているという、一種の「吊り橋効果」で少しずつ近づいているのがわかる。特に、男子高校生の「言葉じゃ交換できないあたらしい予感がひとつ灯った」という表現に見てとれるだろう。

「都会と空と海が混ざる青と紅茶色」

また、この「不思議な夜」は情景描写が秀逸。冒頭でも述べたが、MVなしでもありありと歌詞の中の世界が解像度高く想像でき、そのどれもが美しい。

中でも曲の最終番で出てくる「都会と空と海が混ざる青と紅茶色」という表現には、聞いた当初驚きと感動を覚えた。二人が歩いてきた「夜」が明け始め、始発の電車に乗るために駅へ向かうシーンだが、その爽やかさと少しのセンチメンタルを上手く情景に描き起こしていると思う。

「紅茶色」なんて朝陽の表現、自分にはできないな…。

これ以上ない恋愛ソング「初恋」

恋愛ソングは世の中に数多くあるし、ありすぎて何から聞けば良いかわからないが、そんなあなたにおすすめしたいのがベボベの「初恋」だ。『図書館戦争』の映画の主題歌にもなっていた曲なので、年代によっては聞き馴染みのある人もいるかも知れないが、これが良い。

「初めてじゃないこの恋を終わらない最初の恋にしよう」

「初恋」というタイトルからして、ティーンの恋心を歌った曲なのではないかと思う人も多いかもしれないが、実はこの曲は大人の目線の曲なのである。大人になってすっかりトキメキも薄れ、落ち着いてしまったと思い込んでいた主人公が、ティーンに負けるとも劣らない熱い恋心を抱き、「胸に10代の自分が取り憑いてしまったみたいだ」と表現している。

そんな熱くも爽やかな恋心を抱きながら、お互い様々な出会いと別れを繰り返してきたことを認め合って、それを乗り越えて「初めてじゃないこの恋を終わらない最後の恋にしよう」と約束し、この曲は幕を下ろす。「初恋」がダブルミーニングで使われているのだ。この最後の歌詞に、「初恋」という曲の良さが凝縮されている。

比喩表現が光る「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」

最後に紹介するのは「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」という曲。先述した2つの曲と比べると少し変わったテイストの曲で、謎の子ども?のような音声も使われているのだが、恋愛ソングとして面白いので紹介する。

「初めて聞こえたんだ 耳たぶの染まる音」

この曲で、最も印象に残ったフレーズが曲の冒頭に流れてくる「初めて聞こえたんだ 耳たぶの染まる音」という言い回し。顔が火照ることを「耳たぶが染まる」と表現するが、その「音」が聞こえるという表現にまで持っていったのは素直に感動した。

「ブワっ」と紅潮する音が自分の内から聞こえてくるほどの高揚感、恋心は相当なものだし、その後の歌詞にある、無心でラブレターを書いていく熱量にも繋がる。これを超える「恋」の比喩表現はいまだに出会ったことがない。

まとめ

いかがだっただろうか。これがBase Ball Bearの魅力である。少しでも興味を持ってもらい、各種音楽アプリなどで聞いてもらえればこれ以上嬉しいことはない。今回紹介した曲以外にも「Transfer Girl」「BOYS MAY CRY」「Short hair」など多くの名曲がある。ベボベ沼に一緒に嵌ろう。

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