ORIGINAL-FEATUREオリジナル・特集

【初心者向け比較言語学】英語とフランス語に似た単語が多い理由って何?【簡単解説】

編集・ライティング

シブヤ ユウキ

早稲田大学文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系卒業。雑誌の自主制作やクリエイターチームの結成などを行い、Web制作会社にディレクターとして入社。その後、フリーランスのディレクター・イラストレーターを経て、オウンドメディアのライター・コンテンツディレクターとなる。現在はマルチクリエイターとして活動中。

多くの大学生が第二外国語を勉強すると思うが、その中でも人気が高いのがフランス語。実は生活の中でもフランス語を見かけることは多く、日本に溶け込んでいる言語のひとつとも言える。そんなフランス語を勉強していて気がつくのが、綴りや発音が英語に酷似している単語が非常に多いこと。

この記事では、英語の起源に触れつつ、フランス語との共通点が多いことについて見ていきたいと思う。

古代の英語について

英語には「フランス語が入ってくる前」の英語と「フランス語が入ってきた後」の英語がある。まずは簡単に「フランス語が入ってくる前」の英語について知っておこう。

元はゲルマン系の言葉だった

英語は元々、5世紀頃にヨーロッパに住んでいたゲルマン系のアングロ・サクソン人の言葉が基礎となって出来上がっていったとされている。ゲルマン系とは、言語でいうと「ドイツ語」や「オランダ語」「デンマーク語」「スウェーデン語」などが挙げられる。

なので、系統としては「ゲルマン語派」に属するのが英語なのである。しかし、単語をみると、決して純粋な「ゲルマン語派」とは言い難い。それはなぜか、以下で紹介する。

フランス人に征服されたイギリス

イギリスにとっては苦い歴史かもしれないが、11世紀にフランスから来たノルマン人によって支配されるようになってしまった過去がある。その中でもノルマンディー公と呼ばれるフランス王の臣下は、イギリスを支配して「ウィリアム1世」として征服を行った。

この、フランスのノルマン人によるイギリス征服を「ノルマンコンクエスト」と呼ぶ。また、その統治の領域もかなり広く、フランスの一部にまで及んでいた。

イギリスでも貴族や王族はフランス語で話していた!

以上のように「古英語」が話されていたイギリスに、「フランス語」を話す貴族や王族が入り込んできたため、平民は「古英語」、貴族・王族は「フランス語」を話すという、身分による言語の違いがい生まれたのが11世紀のことである。

なので、政治には全て「フランス語」が使われ、「フランス語」が分からないと話についていけないような状況になってしまったのだ。

フランス語を話せるだけでドヤ顔できた

また、使う言語が違うため、「フランス語」を話せるだけで「自分は上流階級の人間なのだ」とドヤ顔できてしまうほど、言語による身分の壁は厚かったようだ。しかし、こうした「フランス語の特権性」も次第に薄れていった。

きっかけは「百年戦争」だ。1337年から1453年まで続いたイギリスとフランスの戦争で、イギリスは統治していた一部のフランス領土を失ってしまい、結果的にフランスとの繋がりが断たれてしまった。ちなみに、この時のフランス側の英雄が、あの「ジャンヌ・ダルク」だった。さらに14世紀には貴族・王族含め、公用語が英語になり、言語の統一が進んでいった。

フランス語・ラテン語からの借用語が6割!

こうした歴史がある英語だが、ラテン語系の言語であるフランス語が長らく使用されており、貴族・王族を中心に浸透していたことからも、かなりの借用語がある。その割合は一説によると6割とも言われ、英語の形成に大きく影響した。

以上のように、綴りがかなり英語と似ているものや、そもそも全く同じ綴りのものまである。これらは本の一例に過ぎないが、フランス語を勉強しているといくつも英語と似た単語に遭遇することになるので、そこも語学の面白みのひとつだろう。

もちろん、英語は「ゲルマン語派」なので、そちらに近い単語も数多くあるのだが、あまりにもフランス語の影響が大きすぎるせいで、語彙だけで見るとラテン語系統に近いのが英語の不思議なところ。

まとめ

このように、英語はその歴史からフランス語の影響を多分に受けてきた。文法や発音の仕方は異なる部分も多々あるが、語彙の面では、英語を勉強してきた身からするととっつきやすい言語ではないだろうか。

言語にはそれぞれ、その国や民族と歩んできた歴史や、他の言語との接触による変化の歴史が見られる。フランス語、スペイン語、イタリア語なども相互に影響し合っているので、気になった方はぜひ調べてみよう。

どうぞお気軽に
お問い合わせください

プレスリリース、広告掲載、その他クリエイティブの制作依頼などは、
下記からお気軽にご相談ください。ご質問、ご意見も受け付けております。